雨風をしのいでくれる、日々暮らす家の屋根。屋根には防風、防雨だけではなく、遮熱効果があります。特に遮熱効果は、年々暑さが増す日本で暮らす私たちにとって重要問題です。2004年に制定された国土交通省「ヒートアイランド現象緩和のための建築設計ガイドライン」においても、日射反射率の高い屋根材の使用、すなわち遮熱効果の高い屋根材の使用が奨励されています。

今回は屋根材の種類、そして遮熱効果が高い屋根材についてご紹介します。

屋根材の種類は大きく分けてこの4つ

住宅の屋根材の種類には、「金属屋根」「スレート屋根」「セメント瓦」「粘土瓦」の4つがあります。

まずトタン板をイメージすることが多い「金属屋根」ですが、軽量かつ設置が容易とあって、他の屋根材よりも初期コストが低く抑えられます。難点は定期的に防水塗装を塗り直す必要があること、かつ遮熱性と防音性に欠ける点です。しかし、金属屋根材が主流となっているガルバニウム鋼板は、錆に強く、熱反射が高いうえに遮熱効果が期待でき、かつ高いコスパのよさで最近注目されています。

セメントと繊維材料でできた平らな「化粧スレート屋根」は、金属屋根同様諸コストが安く、かつ軽量のため災害に強いことがメリット。またデザイン性が高いことから人気があります。デメリットはやはり金属屋根同様に再塗装が定期的に必要なことです。ちなみによく工場などに使われる波打ったタイプは一般住宅の屋根では使われません。

次に「セメント瓦」屋根です。耐火素材のセメント繊維材料で作られているので、耐火性に優れていることが大きなメリットです。また形状やバリエーションが豊富なのでデザイン性を重視する住宅設計によく使用されています。屋根裏の通気性が良いため、遮熱効果が良い点も魅力です。ただし表面に塗料コーティング必要なため、定期的な塗装メンテナンスが必要です。

最後に「粘土瓦」です。塗装メンテナンスが不要で遮熱性の高い優れた屋根材です。難点は材料費の高さによる初期コストの高さ、そして重量があるため地震災害時には不利な点です。

ズバリ! 遮熱効果が高い屋根材は「粘土瓦」

屋根材の種類において、遮熱効果の高さについては「粘土屋根瓦」に軍配があがります。

屋根には、日光エネルギーを反射させる遮熱効果、そして屋根表面の熱を屋内に入らないようにする断熱効果が求められます。断熱性の高い瓦を屋根材に使用することで、「夏涼しく冬温かい」効果が期待できるのです。

実際に瓦の遮熱効果について実験をおこなった結果があります。「一般社団法人全日本瓦工事業連盟」によると、熱伝導率テスト・小屋裏空気温度テスト・野地板温度テストすべてにおいて、瓦屋根は他の屋根材に比べてハイスコアを示しました。

また、昔ながらの日本家屋の屋根に使われてきた粘土瓦は、すべての屋根材のなかで塗装メンテナンスが不要な唯一の素材です。陶器と同じように粘土を高温で焼いて作られる粘土瓦の耐久年数は割れさえしなければ100年以上保ち、原則漆喰部分の補修や瓦を葺き替え以外の維持費はかかりません。

粘土瓦には釉薬をかけることで彩色する「釉薬瓦」、釉薬をかけずに焼き上げられるグレーから黒っぽい色の「いぶし瓦」があります。ふたつの遮熱効果については、ほとんど違いがありません。

屋根材の種類選びで居心地よい住まいづくりを実現!

屋根のない家はありえず、あまりにも身近すぎて普段意識することのない場所ですが、屋根によって家の住み心地は大きく変わります。屋根材の種類の選択によって、住まい作りの初期コスト、メンテナンス費用、そして居心地の良さを決める遮熱効果や防音効果は大きく変わります。

とはいえ最近では効果の高い遮熱塗料が登場してきました。このような製品を取り入れることで、瓦と比較すると不利だった金属屋根やスレート屋根も遮熱機能アップが期待できます。また、屋根材の下に通気層を設けることで熱された空気を建物の外へと排出するように設計でカバーすることも可能です。

優先すべき課題を考慮しながら最適な屋根材にすること、そしてメンテナンス計画を立てておくことが、屋根材選びの成功を決めるポイントなのです。

屋根材との特性をよく知り最適な屋根材を選ぼう!

初期費用は他の屋根材に比べて高額だけれど、設置後のメンテナンスがほとんど不要の粘土瓦や、最近にわかに新素材開発が著しく、耐久性がアップした金属屋根やスレートなど、それぞれに特性があります。また屋根材によって遮熱効果にも大きく違いがあり、遮熱効果をカバーする塗装材についての知識もまめにアップデートしておきたいものです。それぞれの屋根のメリットデメリットをよく把握して、もっともマイホームに適した屋根を選びたいものです。